『遠足』03_01

東京都渋谷区幡ヶ谷
   彼の家族は両親、2歳上の長男、二男の彼と1歳下の長女からなる5人家族で、彼は当時21歳でした。祖父の代から続く歯科医師一家で、父親は品川で開業し、母親は渋谷区幡ヶ谷の自宅1階で開業していた。長男は私大歯学部に通う学生で、彼も兄と同じく歯科医師を目指し浪人中。4度目の受験を前に予備校に通っていた。ただし日頃からパソコンのオンライン・ゲームに熱中し、予備校は休みがちで成績も振るわなかった。彼の性格はおっとりとしていたといわれ、幼い頃は兄妹とも仲が良かったが、妹が思春期以降家族に対して反抗的になったこともあり、しだいに妹との関係は険悪になったそうです。
   一方、長女の性格は幼い頃から頑固だったとされ、中学生ぐらいから両親に対して反抗するようになった。家出やリストカットをくり返し、心療内科への通院を希望。母親は同級生からの悪影響と娘の虚言と考え、また、娘を病気と思うのを嫌い通院はさせなかった。その後、両親の話によれば「妊娠、堕胎、援助交際、不倫、ファッションヘルス店での勤務、同棲相手とのトラブル」などの問題行動があり、彼女以外の家族の間で「妹がいなければのんびり食事ができるね」と話すこともあったという。しかし彼女は短大進学後は女優を目指しタレント事務所に所属。演技レッスンの傍らVシネマにも傍役として出演。新しい友人達にも明るい表情を見せ、将来への新たな展望を模索していたそうです。彼女はその当時20歳になっていました。
   06年12月30日。母親と長男は帰省し父親も不在。家では二男と長女の兄妹二人きりだった。午後3時頃から二人の口論が始り、逆上した兄が妹を木刀で数回殴打。その後も口論は続いたがおさまらず、彼は彼女をバスタブで溺死させてしまいます。彼は事件発覚を恐れて、風呂場で死体をバラバラに解体し自室のクローゼットに隠した。父親はその日の午後11時過ぎに帰宅したが事件には気づかなかった。彼は翌日31日に予備校の冬期合宿に向かい、その際、父親に「自分の部屋の水槽にサメの死体があり、臭いがする(彼は観賞用の水槽を作ることが趣味)。合宿から帰ったら自分で始末するから、部屋に入らないでほしい」と伝えている。その後、父親も帰省した。
   年が明けた07年1月2日、両親と長男は帰宅。翌日3日午前、異変を感じた家族が、二男の部屋のクローゼットの中から長女の遺体を発見した。彼女の遺体は15個に切断され4つのポリ袋にわけられていた。そして彼は合宿先で逮捕されました。
   裁判が始まると、弁護側は長女の問題行動を指摘しつつ、遺体損壊状況の異常性(乳房と性器の切除、陰毛の剃毛)などから彼を「広汎性発達障害」だったとして精神鑑定を要請。両親は長女の問題行動が理由だとして、彼への寛大な処置を希望。
   彼は裁判で妹の問題行動を詳しく知る事となり、妹への同情を示しつつ両親を非難する場面もあった。裁判の一審では懲役17年の求刑に対し、犯行の一部を責任能力無しとして懲役7年の判決。二審では責任能力を認め懲役12年の判決が下っています。

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