妹
「この事件、兄妹の関係としてはありがちな感じがするんだけど、ワトさんとかはどうだった?」
「あ~ボクは一人っ子なんで、ちょっと想像つかないっすね」
「ワタシは歳が2つ上の兄貴がいて、まあ、子供の頃はモロに『犬と猿』みたいに仲が悪かったからな~」
「あ、やっぱカヲルさんとこも仲悪かったっすか」
「うん、歳が近いと子供の頃はまず親の取り合いになってライバル化するし、異性とか意識し出すのも女子のほうが早いから、2歳程度の違いだとねぇ…」
「体も変化してくるっすもんね」
「で、似た遺伝子して顔も似てるしで、やっぱり比較してチクチク言っちゃうんだよねぇ。兄貴のダメな部分ばっかりが目についちゃってイライラくる。要約すると『ウチの兄貴はなんでこんなにカッコ悪いの?』なんだけど(笑)。ま、今でこそ『あの時はゴメン☆』って心の中で…、と」
「その仲悪い状態が解消されたのっていつぐらいだったっすか?」
「う~ん17、8辺りとかかな。そのぐらいで『比べてもしょうがナイや』って卒業した。ま、今から思えば、腹立てたりするのもコダワリがあるからだし、チクチク言うことで依存してたんだよね、兄貴に」
「そうすると、この妹さんって20歳だから、『兄離れ』がずいぶん遅いっすね」
「うん、今のコって遅いみたいだけど、それにしても彼女はチョット家族にコダワリがありすぎかな。『家族を見返す』と言ってたそうだけど、もう外に出口を見つけてたわけだし」
「タレント事務所に所属してたり劇団に入ってたりして、新しい道を歩んでいたっていう」
「うん、ホントに彼女が自分の家庭を憎んでたなら『家族に自分を認めさせる』ってなことはカッコ悪いよね。もしそれで家族が認めてしまったら、今まで自分がしてきたことは『父さん母さん兄さん、アタシはこんなにデキル娘なのよ! スゴイでしょ!』ってなっちゃう」
「たしかに、家族に肯定されちゃうと見返したことにならなくなるっすね」
「そうそう、イチイチぶつかったり反発しないでもっとクールに対応して、しかるべき時期が来たら家を出て、がんばって成功してから『見返す』よね。事件当日、兄貴が怒って彼女を殺す決定打になった『私には女優になってスターになる夢がある。私は(兄とは)違う。(兄が)歯医者になるのは、パパとママの真似じゃないか』という言葉には矛盾がある。法廷で暴露された彼女自身の『問題行動』を見ると、イマドキのギャルにありがちな感じで、両親の真似はしてないけど、彼女もほかから何かを真似してる」
「ええ、『ケータイ小説』の主人公の典型的なパターンてんこ盛りっすもんね」
「実際は兄貴を非難することできないよね。でも、たぶんそうした矛盾は彼女も気づいていて、むしろ対立そのものを求めてる。彼女の行動は大胆で極端だけどすべて反動や反発だから、そうする相手が必要になる。というより相手が必要だから反発し、相手の反発を買うことで相手を求めてる。彼女が強く反発することは同時に相手を強く求めることになってる」
「なんかそれ、ヤルセナイっすねぇ…」
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