空中庭園
その日の午後に、我々はのほほんと赤羽公園に立っています。
赤羽公園はうっそうとした樹木に囲まれ、中心の広場と、小さく区分された4つほどの公園で構成され、教会風の時計塔や、少し前に流行した「こどもの城」風のモニュメントもあり、なんだか雑然とした造り。広場には古ぼけた八角形の噴水。中心の馬像や中段を囲む小さな石像は丁寧な造りで、水中照明もあり、定期的に爽やかな水しぶきをあげる。昭和43年建造にしてはなかなかゴージャスで凝っています。事件当夜、被害男性が寝ていたであろうベンチは、取り替え中でロープが張られ、前にカラーコーンが置かれている。今度は人が寝そべることができないように、間仕切りがあるベンチに。
「なんか色んなテイストがゴチャゴチャと混ざってる公園だね」
「ラブホみたいな造りっすね」
「ハハハ。いや、ラブホはちょっと言いすぎじゃない? でも、いい感じで古びてるからナゴムっていうか、ちょっと形容し難い感じだね。この妙に浮世離れしてる空気感は、いったいなんなんだろう」
「なんっすかねぇ…」
公園に集まる人々もまた雑多です。先週の台風と暴風雨のせいで散らかった木の葉と枝を片づける区の清掃作業員が数名。ベンチで新聞を読む御隠居風が数名。休憩に来ているサラリーマン1名。犬の散歩で挨拶を交わす人々。自転車で走り去る主婦。屋根つきのベンチで読書にふける文学青年風の男の隣には、公園のヌシのようにビニールテントをこしらえた初老のホームレス。反対側の木蔭にも一見、若い世代のホームレス4、5名が、昼間から酒盛りをしている。やはり目立つのはホームレスの人々。いや、よく見るとどうも様子が違う。ホームレスの人に混じって、ほぼホームレス風? 支援者? 近所の人? と、よく観察してみると年令もバラバラで、形容し難いというかカテゴライズできないような集団。彼らが一見、ホームレスに見えるのは、ダンボールを敷いて地べたに座っていたり、コンビニの袋を持っているせいで、ビールと思われたのも、ほとんどがペットボトルのよう。そんなワケのわからない人々の脇を集団下校する小学生や中学生。そういえば、ホームレス風の人が多いわりに、公園にはすえた臭いがまったくしない。
「これ見て下さいよ〜、さっきあっちのブランコで逆さになってブラ下がってるジイサンがいたんっすよ〜」
和都さんがワクワクと自慢げに携帯電話で撮った写真を見せる。たしかにお祖父さんがブランコの鎖に器用に足をからめて逆さまになっていた。このお祖父さんは、いったいなんのためにこんなことをしているのだろう。独自の健康法なのだろうか。和都さんもこの雰囲気に影響されて多少興奮ぎみなのか、いつになくあちこちと一人で散策している。
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