『遠足』05_01

東京都渋谷区富ヶ谷
   彼女は新潟県新潟市出身。父親が複数の会社を経営する裕福な家庭に育ちました。高校時代からスチュワーデス(現在はキャビン・アテンダントという一般名称に)志望で、東京への進学を強く希望。1浪し東京の白百合女子大学に入学。全身ブランドで着飾り、お嬢様として目立っていた。98年に卒業し、その後、専門学校にも通ったがスチュワーデスにはなれず、都内で派遣社員として勤務。02年に父親の紹介で地元の資産家子息とお見合いし、8ヶ月の交際後、結納まで交わしたが、結婚直前で破談(同時期、彼女の父親の会社は業績が悪化し始めている)。
   一方、彼は福岡県北九州市出身。成績優秀で高校は市内の進学校に進み、2浪して東京の中央大学法学部に入学しました。弁護士を志望し、01年に卒業後、帰郷して地元の会計事務所を手伝っていたが、再び上京し都内の法律事務所でアルバイトをする。当時収入は少なく、学生時代から同棲していた女性に生活を頼っていたようです。彼はこの女性との結婚も考えていたようだが、女性が大手企業に就職して海外出張が多くなり、しだいにすれ違うように。
   そして二人は02年11月頃に合コンで知り合います。彼らは翌12月からすぐに同棲を始め、翌03年3月には入籍。挙式はあげませんでした。彼は不動産投資会社に就職し、彼女は専業主婦に。その年の秋頃から彼による彼女へのDVが始ったそうです。
   彼は2度転職し、05年1月、米大手投資銀行のグループ会社『モルガン・スタンレー・プロパティーズ・ジャパン』(MSPJ)に就職。その年の6月、彼の暴力により彼女は鼻を骨折する重症。2週間「DVシェルター」に保護されたが、彼女は彼を告訴せず結婚生活を続けます。その後、夫婦は恵比須から渋谷区富ヶ谷に転居。彼の収入は順調に増え年収1千〜2千万円ほどになっていたが、彼の暴力はまだ続いていて、また外泊や朝帰りが多くなり、夫婦関係はさらに冷え込んでいった。
   家庭内はともかく外見上の彼ら夫婦は、高級マンションに住み、彼女は身長170cm、美貌の持ち主で、彼も身長180cm、ハンサムな外資系のエリート。いわゆる「理想の夫婦」と周囲から見られていた。当時、彼女は32歳で、彼は30歳になっていました。
   06年12月12日早朝、彼は朝方帰宅し、ソファーで寝ていた。彼女は彼の頭をワインボトルで殴打し、殺害してしまいます。そして彼女は処理に困って遺体をバラバラに。
   4日後の16日午前8時頃、新宿区西新宿の路上で、ポリ袋に入った男性の胴体部分の遺体が発見された。ポリ袋の口は開いた状態で、中の遺体は首から上が、左手は肘下から、右手は手首から、下半身は臍下から切断され、着衣はなかった。さらに28日午後3時10分頃、渋谷区神山町の空家の敷地内で、男性の下半身部分の遺体が発見された。遺体は臍下からつま先まで、着衣はなく、死後数週間が経過し腐敗していた。警察は両現場の遺体を同一人物とみて捜査し、翌07年1月10日、遺体の身元が彼と判明し、妻である彼女を殺人死体遺棄の疑いで逮捕した。彼女の供述に基づき、同日、町田市内の公園で彼の頭部を発見。両手首などは、なまゴミと一緒に捨てたため未発見に。遺体はすべて彼女一人で遺棄したものだった。彼女は「遺体は予想以上に重かった。一刻も早く目の前から取り去ってしまいたかった」と供述。事件後は落ち着いていて、彼への恨みから「離婚して慰謝料を取るだけでは許せなかった。死んでホッとしている。今はよく眠れる」とも話していた。
   事件発覚当時はいわゆる『セレブ夫婦』の事件として騒がれ、発覚前に彼の人格と失踪について友人と電話で話す彼女の肉声テープがマスコミに公開されるなど、世間の注目を集めた。
   裁判では、検察、弁護側双方の精神鑑定で、どちらの鑑定医とも、彼女は犯行時に刑事責任が問えない心神喪失の状態だったと報告。また、彼女は幼少期に父親からの虐待があったことも明かされている。ただし、一審で裁判官はどちらの鑑定も認めず、責任能力はあったとして、懲役15年の有罪判決が下っています。

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