流行ゲーム
「あのさ、事件とちょっと遠いところからの話になっちゃうんだけど、子供の頃の流行ってその言い出しっぺがまず主導権を握るでしょ。カードゲームでもいいし、CMソングとかギャグとか色々。女子なら新しい洋服とか小物を最初に使い出した子」
「ああ『今、こお〜んなのが流行ってる』ってヤツっすね」
「で、その流行に追いつこうとそれを自分で調べて『コレだね☆』ってその子に言うと、今度は『フフン、そんなの古いよ、今はコッチだよ』ってまた新しい流行りモノが出てくる」
「ハイハイ、『言い出しっぺは常に主導権を握って周囲を支配する』っつー」
「それを追いかけている状態だと一歩先をリードしている『発信者』には永遠に追いつけないんだけど、そういった『流行ゲーム』のルールがわかれば、今度は自分から発信すればいい」
「子供の頃そういうことはしょっちゅう互いにやりっこしてるっすね。『言い出しっぺ』の入れ替わりも激しいし」
「うん。で、『お互い同時にその流行を知っている』っていう場面もあったりで、事態はもっと複雑なんだけど、おおむねそういう『流行ゲーム』って、子供の頃に体験済みの感覚だよね。だから大人になって新しい流行に出会った時に、多少臆する部分は誰でもあると思うけど、それって『流行ゲーム』の幼児体験が在るからかなって」
「ああ『この流行とどう付き合ったもんかい?』っていうか『乗るか乗らぬか?』って考えるっすね」
「渋谷って、様々な『流行ゲーム』がひしめいている場所だから、渋谷の居心地の悪さってそこに由来する気がする。そういったゲームをフランクに楽しめないとツラい場所」
「なるほど。やっと渋谷の話題に戻りましたね(笑)」
「アンタまた人を小ばかにして。まっイイか、で、彼女は一応『社長令嬢』なわけだから、子供時代の『流行ゲーム』の相手としてはちょっとその…。ワタシが同級生だったら当然、ゲームの相手としては避ける」
「そりゃ、最初っからかないっこないっすもんねぇ」
本人に罪は無いのだけれど、周囲の同級生からはうっすらとした距離を置かれる。明確な仲間はずれやイジメはないけれど、うち解けたふれ合いはない。支配したりされたりの、子供らしいジャレ合いの外にいる。そうして、プライドの高い両親から引き継いだ自尊心はしだいに高くなり、緩やかな孤独感は見えない不満を内に溜め込んでゆく。
「そーいえば小学生の時は静かで大人しいっていう周囲の評判とは逆に、卒業文集では『勝気な性格で、やられたらやり返す』って自己分析してるっすね」
「彼女が『やられた』と思った出来事はいったいなんだったんだろうね。具体的エピソードがないんだよなぁ。ふーん、で、高校時代からスッチー目指して、東京のお嬢様大学に入学。実家からは20万円以上の仕送りをもらいつつ全身ブランドで着飾り、高身長、高収入のムコさん探して合コンに明け暮れるっと。なんか『人も羨む』っていうか、カワイクない女。っていうのが逆に…」
「逆にナンっすか? まあヤッカミ入れやすいひとだけど」
「うん。でもな〜んかどこかで見たことあるキャラなんだよねぇ…」
「ものの見事にお嬢様キャラ三拍子揃ったステレオタイプっすからね」
「それもなんか『ムリある感』漂わせつつなんだけど」
PH→ 06 07
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itsushiの投稿です