『遠足』08_05

滑稽
  「自殺のパラドックスって『他人に殺されないために死ぬ=自己保存のための自己消去』とか『生きていることを他人に知らせるために死ぬ=メッセージ発信の打ち消し』とか色々考えられるけど、『自分を殺す』っていうことは深く考えなくってもそのまんまでパラドックスだし、なんか『解けないナゾナゾ言った本人が消える』という」
  「ズルイ感じっすね、それ」
  「うん、ズルイ。でもまあ自意識につなげて自殺を把握しようとするのって、西欧哲学っぽい方法かな。よく西洋人から見た東洋人の感覚の違いで『滅びの美学を日本人は好む』っていわれるけど、ハテそうなのか?」
  「ああ、『ナンデ日本人《フランダースの犬》デ泣クンデスカァ?』とか」
  「そういう意味で今回の『飛び降り、巻き添え』って『どう思うか?』と聞かれれば、悲惨さと滑稽さを同時に感じちゃうんだけど」
  「いや、ボクは悲惨さしか感じないっすけど。自分の不幸で死ぬにしても、関係ない他人を巻き込んで、迷惑で嫌なことが連鎖してる感じで」
  「その『感じ』って重要かもしれないね。西欧みたいに『死とは何か』って考えたりするんじゃなくて、わたしたちは感覚的な何かを受け取ろうとする。不条理の解消が目的じゃなくて不条理から何かを授かろうとする」
  「あの、ちょっとあれなんっすけど『西洋vs東洋』っていう対立で考えていいんすかね」
  「いや、なんていうか、そういう二者択一じゃなくて、むしろ『西洋が発見されたから東洋が発見された』とか『西洋の模倣から非西洋を造る』と考えれば次に進めるし。どちらかを打ち消すというのではなくて両方必要、というか必ず逆転したモノが発生する。例えば近代化されると便利にも不便にもなるし、安全にも危険にもなる。高層ビルを建てれば多くの生活や仕事のスペースができるけど、上から人や物が落ちてくることにもなる。あと、むごい死に方っていう状態は、街が発展したからそうなった。硬い地面に柔らかいモノがぶつかれば、どのようになるか。『街を堅牢にし、高層ビル建ててそこから飛び降りて、他人を巻き添えに自分もむごい死に方をする』ってやっぱりなんか滑稽だなぁと」
  「でも、そうドライな感覚で言われるとどうも…」
  「さっき言い忘れてたけど、死とか自殺とかについて普段から可能なかぎりドライに考えておくのも身を守る方法のひとつね」
  「なるほど。安易な感情移入は禁物ってわけっすね」

BACK←→NEXT

  1. ayartitsushiからリブログしました
  2. itsushiの投稿です