『遠足』10_01

東京都品川区平塚
   少年は品川区に住み、教育熱心な両親に育てられました。彼は中学受験に成功したが欠席がちになり、2年生で私立中学を退学し公立中学に転入。しかしそのまま1日も登校せず不登校に。彼は「中学でいじめがあった」と話しているが、関係者は「父親とトラブルがあったようだ」と話し、周囲と彼の認識にはずれがありました。06年4月、彼は東京都内の私立高校の全日制コースに進学したが、8月末に母親から「子どもが体調を崩し、(精神科の)カウンセリングを受けている。通学の負担を減らしたい」と要望があり、10月から通信制コースに移る。授業は月2回。欠席はなく、どの科目も成績がよく非の打ち所がなかった。常に最前列で授業を受け、いつも一人でいる生徒だった。周囲からは「孤独が苦にならないタイプ」とみられていたが、彼は「友達が一人もいない」と悩んでいたようだ。彼は当時16歳でした。
   08年1月5日午前、少年は通っていた塾の講師から注意を受け(彼にとっては「怒られた」という認識)、自宅に戻ってから母親と口論になった。昼過ぎに家を出て、JR大井町駅前の大型スーパー2階にある100円ショップで刃渡り15センチの文化包丁3本を購入し、そこから徒歩で品川区平塚の「戸越銀座商店街」に向かう。途中にあった公園で包丁の包みを開けて、持っていた茶色のバックに剥き出しのまま放り込んだ。彼は東急池上線戸越銀座駅の踏切り前でバックから包丁を取り出し、両手に2本持ち、もう1本を靴に差し込む。
   その場所で彼は会社員の女性(当時30)の左胸を切りつけ、別の会社員の女性(当時42)の背中を刺した。女性2人はいずれも全治10日程度の軽傷で、現場前にある薬局店の店主に応急処置を受けた。次に彼は踏切りを越えて数十メートル先のスーパー前で男性(当時61)を切りつけた。男性はコートの背部を40センチほど切られ、一緒にいた妻と共に近くの米穀店に逃げ込み、けがはなかった。さらに数十メートル先の薬局店に車いすの人を含む3人が逃げ込み、店員が慌てて自動ドアのスイッチを切ったため、3人に被害はなかった。少年はドアのガラスを叩きながら「神に裁きを」(「神の裁きを」という情報もある)などと叫んでいたそうです。彼はさらに西に進み、和菓子店付近でアルバイトの女子高生(当時18)をすれ違いざまに切りつけた。女子高生はジャージの背中を数カ所切られ、近くのインテリア雑貨店に逃げ込んだ。他にも派遣社員の女性(当時28)もコートの背部を数カ所切られている。
   同日午後3時25分頃、「商店街で男が包丁を振り回し、けが人が出ている」と110番通報があり、少年は商店街が終わる中原街道付近で、駆けつけた警察官に取り押さえられた。彼は無抵抗だったといい、調べに対し「誰でもいいから皆殺しにしたかった」と供述。彼は犯行中「殺してやる」「おれを侮辱するんじゃねぇ」などと叫んでいたそうです。後に、かん高い奇声をあげながら歩く彼の防犯カメラの映像がTVなどで報道された。痩身で黒っぽいジャンパーにジーンズ姿。髪を肩の近くまで伸ばしていた。少年は「助けてくれー」と叫んでいたとの話もある。
   前年12月に長崎県佐世保で男(当時37)が散弾銃を乱射し8人が死傷した。そして年明け早々の08年1月に今回の事件。そして同年同月、東京都文京区の路上で女(当時42)が子供(当時7)を包丁で切りつける。同年3月、茨城県JR荒川沖駅構内で男(当時24)が通行人をナイフで無差別に切りつけ8人が死傷。同年同月、岡山県JR岡山駅ホームで電車を待っていた公務員の男性(当時38)を、少年(当時18)が後ろから突然故意に線路に突き飛ばし、男性は轢死。同年6月、東京都JR秋葉原駅近くの路上で、男(当時25)が通行人をナイフで無差別に切りつけるなどして、7人を死亡させ10人にけがを負わせた。同年同月、大阪府JR大阪駅のホームで女(当時38)が通行人2人を刃物で切りつけ、かすり傷を負わせた。同年8月、東京都JR渋谷駅付近で老女(当時79)が通行人2人を刃物で切りつけた。
   このように07年末から08年にかけて、日本全国各地で連鎖的にさまざまな無差別殺傷事件が発生しました。

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