『遠足』13_15 エピローグ15
ベランダ
最後に、私の自宅マンションのベランダから見渡せる風景のその後について、お知らせします。
新しく建ったアパートにはもう何人もの住人が入居し、そこにひとりの大学生風の女の子が暮らし始めています。彼女はちょくちょく友人や仲間を自宅に招き、楽しい青春を謳歌しているよう。たぶん彼女は気さくな人気者なのだ。
けれども彼女の友人らが部屋に納まりきらず、外に集って深夜から早朝にかけて楽しい会話を続けていると、うるさくて我々夫婦は眠れない。このアパートが建っている区画は四方をマンションに囲まれていて、ちょうどローマのコロッセウムのように音が反響し、チョットの音でも増幅されて聞こえるのだ。
先日は、彼女と彼氏らしきカップルの痴話喧嘩の内容までよく聴こえたり、と、我々にとっては「彼女の青春」が悩みのタネ。
彼女らはこの辺りのマンション住民のヒンシュクを買い、自身のプライバシーを、それとは知らずに周囲にばらまいている。けれども、まだ誰も注意しません。なかなか興味深い風景ではあるけれど、はて、今後どうなるでしょう。
また、彼女らとは別に、明け方子ガラスの集団が騒いでうるさいのですが、そのカラスに興味を抱いている一匹の黒い子猫がいる。どうもこの子猫は、カラスたちと仲良くしたいようです。不思議なのですが、子ガラスと子猫ならばそのような「恋」らしきものはよくあるそう。なので、明け方は「カアカア、ゴロニャ、カァーッ、ウニャニャ」と、やっぱりうるさいのでした。
何が言いたいのかというと「まあ、そのようにゆっくりと、また新しい日々は訪れる」と。
遠足_Fin
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